裏返る現実
10年まえに読んだ本を読み返していたら
好きな箇所は変わらずそこにあったけれど
忘れてしまっていたのか、そのときは気にとめなかったのか
あらたに好きな箇所を発見して、おもしろかった。

現実とその外側、や、日常とその外側、は靴下とおんなじで、
簡単にくるっと裏返る。
そうすると、それまで現実だと思っていたものが突然
非現実になり、非現実だと思っていたものがあっけらかんと
現実になり、日常だと思っていたものがいきなり非日常になり、
非日常だとばかり思っていたものが堂々と日常になるわけで、
それはもう驚きとか困惑とかいっている場合ではすでになく、
おっと、と小さくつぶやいて、あとはもうまるで何もなかったか
のようにそれを受け入れるより他にない。
ちょうど、夢からさめたときのように。
私は、現実や日常がくるっと裏返る、あの瞬間を愛している。

『泣く大人』江國香織

[PR]
by favoriteworks | 2011-11-16 22:21 | 観る、読む
<< 刹那 Ripples and Angels >>