カテゴリ:観る、読む( 163 )
11月の茶花
<1>

椿(西王母)
萩(照り葉)

<2>

つわぶき
吉祥草
椿

<3>

灯台(どうだん)つつじ
椿(初嵐)
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by favoriteworks | 2011-11-28 16:47 | 観る、読む
裏返る現実
10年まえに読んだ本を読み返していたら
好きな箇所は変わらずそこにあったけれど
忘れてしまっていたのか、そのときは気にとめなかったのか
あらたに好きな箇所を発見して、おもしろかった。

現実とその外側、や、日常とその外側、は靴下とおんなじで、
簡単にくるっと裏返る。
そうすると、それまで現実だと思っていたものが突然
非現実になり、非現実だと思っていたものがあっけらかんと
現実になり、日常だと思っていたものがいきなり非日常になり、
非日常だとばかり思っていたものが堂々と日常になるわけで、
それはもう驚きとか困惑とかいっている場合ではすでになく、
おっと、と小さくつぶやいて、あとはもうまるで何もなかったか
のようにそれを受け入れるより他にない。
ちょうど、夢からさめたときのように。
私は、現実や日常がくるっと裏返る、あの瞬間を愛している。

『泣く大人』江國香織

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by favoriteworks | 2011-11-16 22:21 | 観る、読む
語りかける花
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そのほか日本の美術をはじめ、今まで掘り下げられることのなかった
井戸がぐんぐん深くなってゆくような卓抜した文明批判、時には
度肝を抜かれ、時を忘れて私は一滴もこぼすまいと伺った。
人は何十年交際したからといって、ただ三回だからといって、
その方から受けたものの大きさ、深さは測れるものではない。

「瀉瓶三滴」より

歌人早川幾忠を偲んだ「瀉瓶三滴」は、最初に端を折ったページ。

それならば私は、色が混じり合うことを拒み、互いに補色し合い
助け合おうとしている色の法則性に従順でなければならない。
人もまた、他者との、かかわり合いにおいて他と混同することなく、
互いに調和を作り出してゆくことを、それは示唆しているのかもしれない。
「織色」より

縦糸の色と横糸の色を他者との関わり合いに例えた「織色」は
次に端を折ったページ。

感想などはまだ言葉にならない。ただ毎晩ベッドの上で読んでいる。
繰り返し、読んでいる。

染織家、志村ふくみさんの『一色一生』に続く随筆集
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by favoriteworks | 2011-10-22 23:37 | 観る、読む
10月の茶花
<1>

芙蓉(ふよう)
縞葦(しまあし)
水引草
花柳
白い花(未詳)

<2>

槿(むくげ)
水引草
藪蘭(やぶらん)
縞葦(しまあし)
花柳

<3>

吾亦紅(われもこう)
不如帰(ほととぎす)
水引草
そりだこ(泡立ち草)
白竜胆(しろりんどう)
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by favoriteworks | 2011-10-21 23:30 | 観る、読む
9月の茶花
<1>

芙蓉(ふよう)

<2>

槿(むくげ)
水引草
藪蘭(やぶらん)
縞葦(しまあし)


<3>

槿(むくげ)二色、ひとつは蕾
千両(まだ青い)
藪蘭(やぶらん)実つき
水引草





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by favoriteworks | 2011-09-22 16:24 | 観る、読む
DeadSee, 2005 / Siglit Landau
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横浜トリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOURで
その螺旋に引きずり込まれるように、立ち尽くした。
イスラエルのアーティスト、Siglit Landau(シガリット・ランダウ)
の夢のように美しい映像作品、DeadSee(死視)の前で。

水面に浮かべられた500個のスイカが、250メートルのコードで繋がれ、
渦を描き、作家ランダウ自身も螺旋の層の中に閉じ込められるように
浮いている。渦は次第にほどけていき、最後は青い水面だけが残る。

ただじっと見入っていた。この自然なフロート感覚は、Dead Sea(死海)
の塩分によるものだ、Dead SeaとDeadSee、同音異義のおもしろみを
感じながら見入っていた。タイトルの意味するところはまだわからない。

伸ばした手の先にある割れたスイカの美しい赤が強く印象に残る。
「傷ついて、赤く、剥き出しの、わたしのように」とランダウは言う。

DeadSee, 2005 / Siglit Landau


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by favoriteworks | 2011-08-19 23:40 | 観る、読む
ペルセウス座流星群の日
窓辺に置いた脚立からしばらく眺めていた
夏の夜空。

月が明るすぎて、彗星はひとつも
捉えられなかったけれど、
見えない流星群の中に輝いている月と
その時間は、悪くなかった。

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by favoriteworks | 2011-08-13 01:28 | 観る、読む
うつくしく、やさしく、おろかなり
長く生きていれば病のひとつも患う。
けれどわたしは変わらぬわたしのままで
こうして今しばらく生きることを赦されている。

このごろは、人生の意味を考えるようになった。
わたしは、なんのために生かされているのだろう?

すると江戸の人が答えてくれた。
なんのためでもいい。
とりあえず生まれて来たから、
いまの生があり、そのうちの死がある。
それだけのことだ。
人生の意味を問うなんて野暮だった。
生意気だった。青かった。

すべからく経済の世、風の流れぬ里となって久しい現代では、
年相応に老け衰えつつ、それなりの人生を死ぬまで生きる
というあたりまえのことが遠くなった……と
杉浦日向子さんは江戸のフィルタを通して語りかけてくる。

『うつくしく、やさしく、おろかなり 私の惚れた「江戸」』
杉浦日向子/筑摩書房








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by favoriteworks | 2011-08-11 00:30 | 観る、読む
小村雪岱
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泉鏡花『遊里集』装幀

描かれる人物は人形あるいは仏像のような顔をしている。
「個性のない人物、これが私の絵の特徴で……」と言っている。

では個性のない人物を描いてどこに興味を置いてゐるのかといへば、私はあの能面の持つ力に似たものを希(ねが)つてゐるのです。能面は唯一つの表情です。しかし演技者の演技如何によつては、それがある場合は泣いてゐるようにも見え、またある場合には笑つてゐるようにも見えます。つまり私は個性のない表情のなかにかすかな情感を現したいのです。それも人間が笑つたり泣いたりするのではなく、仏様や人形が泣いたり笑つたりするかすかな趣を浮かび出させたいのです。『小村雪岱作品集』小村雪岱 / 阿部出版株式会社


それは、見る者の心情如何によっても、いろいろに見えるということ、
空想に遊ばせてくれる余白を意識的に備えた芸術ということでもある。

本の装幀、きものの意匠も美しい。
紙や、絹織物のうえに息づく、美について想う。



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こぼれ松葉






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by favoriteworks | 2011-08-08 09:51 | 観る、読む
おかしな本棚
本棚の本。
本棚は冷蔵庫と同じで、その主を端的に語る。

さすが装幀を仕事にするクラフト・エヴィング商會。
古書店であれ、誰かの家であれ、こんな本棚があったら
じっと見つめてしまうと思う。
愛すべき本棚に、手にとってみたい魅惑的な背表紙。

もし、この本の中で紹介されている本を実際に
読んでみたいと思うのなら、なんといったって、
クラフト・エヴィング商會のことだからと肝に銘じ
用心深く選ばなければならない。
読もうと思ったって、架空の本も紹介されているのだから。

騙されるとわかっていてちょっと騙されるのもいいと思う。
それが自分にとって魅惑的なものであるのなら。

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紙の本は、声をのせて給する皿だという。
世が電子書籍の時代になって、
本という名の皿がことごとく割れてしまっても
読者のなかに声は残るという。
だいじなのは声であって、皿ではない、けれど。

が、主役に輪郭を与える皿の妙が、皿の模様や皿の材質や
皿の薄さ厚さ重さ軽さが……床に落とせば割れてしまう
はかなさも含めて……思いがけない「おまけ」を生んできた。


おまけの楽しみが失われるかもしれないということ。
本好きが共有する心配ごとかもしれない。

『おかしな本棚』クラフト・エヴィング商會 / 朝日新聞出版










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by favoriteworks | 2011-08-02 20:24 | 観る、読む