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東京は素敵なドーナツ
東京は「素敵なドーナツ」だという。

ドーナツ状になっていて、誰もがメリーゴーランドのように
線ではなく円環の移動を強いられる。
環には経済や流通のせわしない流れがあり、真ん中に空いた穴の部分、
緑でおおわれた小さな島には、外側とは異質な時間が流れる。

というようなことを『アースダイバー』の冒頭のほうで
読んだときには、自分も車に乗って幾度となく周っている、
皇居の緑が目に浮かんだだけだった。

いまの東京の古代の姿、土地の記憶が持つエネルギーについて
おもしろく読んで、本のページが終盤にさしかかったところで
再び皇居が出てきたときの印象は、最初に感じたそれとは
すこし異なっていた。


ぼくは夢想する。双系原理によって立ち、都心部にあっても、
自分のまわりをとりかこむ騒音にすこしもそまらない森の奥で、
おだやかな森番のようにして生きる天皇が、ある日つぎのように
世界に向かって発信するのである。

「わたしたちの日本文明は、キノコのように粘菌のように、
グローバル文明の造りだすものを分解し、自然に
戻していくことをめざしている、多少風変わりな文明です。
そしてわたしはそういう国民の意思の象徴なのです」

『アースダイバー』中沢新一




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by favoriteworks | 2011-06-30 23:55 | 観る、読む
縄文聖地巡礼
自然界の物質は、地球から取り出すから限りがある。
ところがそれを交換するときには、限りのない「数字」
でやっている、ということの考えのなさ。

非線形であるはずの自然や科学や芸術に商業化をからめて
線形にしていったときの、歪み。

行き詰まりの突破口となるかもしれない縄文、という考えかた
というより円環、線でない時の流れに深くひきこまれる。

『縄文聖地巡礼』坂本龍一 中沢新一

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by favoriteworks | 2011-06-29 16:41 | 観る、読む
NATIVE TIME
縄文の時の流れにむかって目を凝らす。

太古の昔、文字に書かれた歴史が始まる以前
日本が日本になる前に、この島に流れていた時間
について、想いを馳せてみる。

はじまりもなければおわりもなく
直線ではなく円環を描いて万物が再生するという
その時の流れに。

いうならば縄文時代、縄文的生き方の時代というのは、今ぼくたちが生きているような、時間が直線的にあるいはジグザグを描いて、いつの間にか大地から切り離されて破滅にむかう世界ではなく、もうひとつの時が大きなサイクルを描きつつ、あらゆるものが有機的に再生し続けるという認識のなかで人びとが地球とつながっている別の世界、われわれの世界と平行して存在する別の世界を言うのである。

『ネイティブ・アメリカンとネイティブ・ジャパニーズ』北山耕平


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by favoriteworks | 2011-06-25 18:10 | 観る、読む
オリーヴ・キタリッジの生活
リアリスティック。
アメリカの田舎町の話で、派手なドラマが展開されるわけでもなく
特別心惹かれる人物が登場するわけでもないのだけれども
リアルな小説だった。光や空気の匂いが伝わってくるのだった。
場景を映画やドラマのように観たのだった。

翻訳は『グレード・ギャッツビー』フィッツェラルド
『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリの小川高義。

『オリーヴ・キタリッジの生活』
エリザベス・ストラウト/小川高義

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by favoriteworks | 2011-06-12 22:11 | 観る、読む
記憶の画家
脳神経科医オリヴァー・サックスが記した7人の患者の物語
『火星の人類学者』を読んで、一番印象的だったのは、
記憶の画家、フランコ・マニャーニの例だった。

熱病に浮かされて夢をみてから絵筆をとるようになり
何十年も前、幸せな子供時代を過ごしたトスカーナの
ポンティトという村の写実的な、時に超現実的な風景画を
遠く離れたアメリカで描き続けている。自分を、
「永遠に失われた世界の記憶をもつたったひとりの生存者」
と感じながら。

もうひとつ、訳者あとがきに心をつかまれた。
わたしたちは五感を通して、自分が住んでいる世界をとらえる。知覚によって、自分が住んでいる世界をつくりあげ、そのなかで暮らしている。そのとき、知覚を通じて環境を構築することによって、逆に自分自身をもつくりあげている。だから、五感が変化し、知覚が変化すれば、自分という危うい存在も変わらずにはいられない。
『火星の人類学者』オリヴァーサックス/吉田利子

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by favoriteworks | 2011-06-12 22:01 | 観る、読む
栗の片口皿
めずらしい片口皿は百貨店の伝統工芸展でみつけた。

職人さんと話を始めたら気持ちの半分以上は
持って行かれるのを知っていて、話してしまう。

お菓子でもチーズでも何でものせられる。
できれば人の手をかけた温かみのあるものを。

高松のクラフト・アリオカさんの栗の漆器。

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by favoriteworks | 2011-06-03 18:37 | others
衣更え
6月から単衣(ひとえ)、盛夏は絽や紗の薄物で
どれだけ涼しげに装うことができるか
酔狂なんだか素頓狂なんだか、やせ我慢をしながら
趣向を凝らすのもまた、楽しみに思う季節

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by favoriteworks | 2011-06-01 09:55 | 纏う