<   2011年 08月 ( 8 )   > この月の画像一覧
Forrest Rain
キールズのForrest Rainが廃番に。森に降る雨。
好きな名前と香りがひとつ、この世から消えた。


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by favoriteworks | 2011-08-31 22:07 | 纏う
DeadSee, 2005 / Siglit Landau
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横浜トリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOURで
その螺旋に引きずり込まれるように、立ち尽くした。
イスラエルのアーティスト、Siglit Landau(シガリット・ランダウ)
の夢のように美しい映像作品、DeadSee(死視)の前で。

水面に浮かべられた500個のスイカが、250メートルのコードで繋がれ、
渦を描き、作家ランダウ自身も螺旋の層の中に閉じ込められるように
浮いている。渦は次第にほどけていき、最後は青い水面だけが残る。

ただじっと見入っていた。この自然なフロート感覚は、Dead Sea(死海)
の塩分によるものだ、Dead SeaとDeadSee、同音異義のおもしろみを
感じながら見入っていた。タイトルの意味するところはまだわからない。

伸ばした手の先にある割れたスイカの美しい赤が強く印象に残る。
「傷ついて、赤く、剥き出しの、わたしのように」とランダウは言う。

DeadSee, 2005 / Siglit Landau


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by favoriteworks | 2011-08-19 23:40 | 観る、読む
盗まれたレンブラント
「盗まれたレンブラント作品を教会で発見
犯人は盗難が大きなニュースとなったため、
売却するのも難しいことに気付いたのではないか」
米ロサンゼルス CNN (2011.8.17 10:42)


のニュースに、べつの想像をしてしまった。

それは、盗み出したレンブラントの絵画を、
癌に侵された妻のベッドの上に掛けた男、
リチャード・ナーワルの話。

彼は妻と一緒に過ごした人生のひとこまひとこまを綴った手紙を
毎日のように妻に宛て、郵便局へ出しに行った。

毎朝手紙が届くと、ふたりはレンブラントの下に横になって、
声をそろえて読んだのだった。
すると一通ごとに、日ごとに妻はよくなっていき、一年後に
元気を取り戻したという。
そして366日後、ブライダルヴェールのシルクで包まれた絵画が
美術館へ送り返された。

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それはコルベールのashes and snow 『手紙で綴られた小説』
のなかの、わたしが気に入っている話のひとつです。

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by favoriteworks | 2011-08-17 16:40 | 想う
ペルセウス座流星群の日
窓辺に置いた脚立からしばらく眺めていた
夏の夜空。

月が明るすぎて、彗星はひとつも
捉えられなかったけれど、
見えない流星群の中に輝いている月と
その時間は、悪くなかった。

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by favoriteworks | 2011-08-13 01:28 | 観る、読む
うつくしく、やさしく、おろかなり
長く生きていれば病のひとつも患う。
けれどわたしは変わらぬわたしのままで
こうして今しばらく生きることを赦されている。

このごろは、人生の意味を考えるようになった。
わたしは、なんのために生かされているのだろう?

すると江戸の人が答えてくれた。
なんのためでもいい。
とりあえず生まれて来たから、
いまの生があり、そのうちの死がある。
それだけのことだ。
人生の意味を問うなんて野暮だった。
生意気だった。青かった。

すべからく経済の世、風の流れぬ里となって久しい現代では、
年相応に老け衰えつつ、それなりの人生を死ぬまで生きる
というあたりまえのことが遠くなった……と
杉浦日向子さんは江戸のフィルタを通して語りかけてくる。

『うつくしく、やさしく、おろかなり 私の惚れた「江戸」』
杉浦日向子/筑摩書房








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by favoriteworks | 2011-08-11 00:30 | 観る、読む
夏の雨
夕方、突然の驟雨に見舞われる。
カフェは満席、商店街は喧騒のなかにある。
ひとつ、雨宿りにいい場所があった。
それは図書館。
静かで、無料で、冷房は効き過ぎていない。
すわって、閉館ちかくまで本を読む。
日が射したかと思うと強く、
雷鳴がとどろいたかと思うと弱く、
いつまでも降りやまないので仕方なく濡れて帰る。

何度こんなふうに、雨に降られたことかと思う。
いくつもの記憶の向こうに、夏の雨が降っている。


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by favoriteworks | 2011-08-09 21:36 | others
小村雪岱
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泉鏡花『遊里集』装幀

描かれる人物は人形あるいは仏像のような顔をしている。
「個性のない人物、これが私の絵の特徴で……」と言っている。

では個性のない人物を描いてどこに興味を置いてゐるのかといへば、私はあの能面の持つ力に似たものを希(ねが)つてゐるのです。能面は唯一つの表情です。しかし演技者の演技如何によつては、それがある場合は泣いてゐるようにも見え、またある場合には笑つてゐるようにも見えます。つまり私は個性のない表情のなかにかすかな情感を現したいのです。それも人間が笑つたり泣いたりするのではなく、仏様や人形が泣いたり笑つたりするかすかな趣を浮かび出させたいのです。『小村雪岱作品集』小村雪岱 / 阿部出版株式会社


それは、見る者の心情如何によっても、いろいろに見えるということ、
空想に遊ばせてくれる余白を意識的に備えた芸術ということでもある。

本の装幀、きものの意匠も美しい。
紙や、絹織物のうえに息づく、美について想う。



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こぼれ松葉






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by favoriteworks | 2011-08-08 09:51 | 観る、読む
おかしな本棚
本棚の本。
本棚は冷蔵庫と同じで、その主を端的に語る。

さすが装幀を仕事にするクラフト・エヴィング商會。
古書店であれ、誰かの家であれ、こんな本棚があったら
じっと見つめてしまうと思う。
愛すべき本棚に、手にとってみたい魅惑的な背表紙。

もし、この本の中で紹介されている本を実際に
読んでみたいと思うのなら、なんといったって、
クラフト・エヴィング商會のことだからと肝に銘じ
用心深く選ばなければならない。
読もうと思ったって、架空の本も紹介されているのだから。

騙されるとわかっていてちょっと騙されるのもいいと思う。
それが自分にとって魅惑的なものであるのなら。

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紙の本は、声をのせて給する皿だという。
世が電子書籍の時代になって、
本という名の皿がことごとく割れてしまっても
読者のなかに声は残るという。
だいじなのは声であって、皿ではない、けれど。

が、主役に輪郭を与える皿の妙が、皿の模様や皿の材質や
皿の薄さ厚さ重さ軽さが……床に落とせば割れてしまう
はかなさも含めて……思いがけない「おまけ」を生んできた。


おまけの楽しみが失われるかもしれないということ。
本好きが共有する心配ごとかもしれない。

『おかしな本棚』クラフト・エヴィング商會 / 朝日新聞出版










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by favoriteworks | 2011-08-02 20:24 | 観る、読む