Things to be Happy about
by favoriteworks
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伊豆の山姥は山の中に住んでいる。
達筆すぎて子供には読めない手紙の最後に
伊豆の山姥と書いてあったのだけはいつも読めた。
山姥というと夜中に包丁を研いでいそうだけれど
わたしの山姥はいつも笑っている。
話してくれる思い出話はみな、
おなかを抱えて笑うようなものばかり。
各地の民芸品に埋もれた山姥の部屋は
いつも伽羅のようないい香りがする。
彼女は信じられないほど友達が多く
もしかすると町中の人が友達なのかもと錯覚する。
今年の遅い遅い夏休みには
蜂蜜屋さんに連れて行ってくれた。
伊豆の山姥は、美食家で
日本の美しいものに詳しくて
今はひっそりとつましく暮らす
最高に心豊かなわたしの伯母だ。
2002.10
by favoriteworks
| 2004-06-06 16:32
| 想う
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